MacBook Pro (16-inch, 2019)のMagic Keyboardはデスクトップ用のMagic Keyboardとほぼ同じサイズで、バタフライキーボードと比較してクリーニングと修理も容易になっているようです。詳細は以下から。
米iFixitは現地時間2019年11月15日、Appleが11月13日に発表した「MacBook Pro (16-inch, 2019)」で新たに採用された、物理ESCキーと逆T字型の矢印キー、そして従来のTouch Barと独立したTouch IDを搭載した「Magic Keyboard」の分解レポートを公開しています。
分解レポート(13分辺りから)やライブ配信されたFirst Lookによると、MacBook Pro (16-inch, 2019)に採用されたMagic Keyboardは2枚のクロスされたシザースイッチが戻ってきており、第3世代以降のバタフライキーボードで採用されたゴミの侵入を防ぐラバーレイヤーは無くなり、
キーストロークはバタフライ構造のキーボードが0.55mmだったのに対し、MacBook Pro (16-inch, 2019)のMagic Keyboardは1.0 mm、キーキャップの厚さは約 0.2 mmとAppleが現在iMacやデスクトップ用に販売している同じくシザー構造の「Magic Keyoard」に近く、キーキャップの大きさもほぼ同じなので交換しても動作し、加えてシザースイッチを挟むキーキャップのクリップは補強されているようで、クリーニングや修理などキーキャップを外す際にキーキャップが破損する可能性は低くなってるようです。
キーストローク
- MacBook Pro (2015)以前のシザーキーボード : 1.3mm
- デスクトップ用Magic Keyboard (シザー構造) : 1.1mm
- MacBook Pro (2016~2019)のバタフライキーボード : 0.55mm
- MacBook Pro (16-inch, 2019)のMagic Keyboard : 1.0mm
The new Magic Keyboard in the 16-inch MacBook Pro uses a scissor switch that looks almost identical to the switches in the desktop Magic Keyboard, and MacBooks sold before the butterfly blunder. The switch is two plastic pieces, crossed, with a pivot in the middle to control key movement. It’s more robust than butterfly switches, and there’s more space to tolerate debris within its movements. […]
Compared to the butterfly keyboards, the new keyboards have about 0.5 mm more travel when you press them. The keycaps are about 0.2 mm thicker. The tiny clips that attach the keycaps to the scissor switches seem reinforced, so that there’s a lower chance of breaking them and ruining the keycap when you pull it off for cleaning or repair. Now you have a way better chance of getting the cap off and back on intact.The New MacBook Pro Keyboard is a Throwback in the Best Way – iFixit
今後の問題
バタフライ構造のキーボードとの比較
Appleが2015年にバタフライ構造のキーボードを発表したさい、バタフライ構造のキーボーは従来のシザー構造と比較して4倍の安定性と40%薄さ、そして17%大きいキーキャップを採用しているとコメントしましたが、
MacBook Pro (16-inch, 2019)に採用されたシザー構造のキーボードは、これまでのバタフライ構造のキーボードのキーストローク0.55mmと比較すると倍近い1mmのキーストロークのため、安定性と薄さに関しては旧バタフライキーボードのユーザーがどう判断するかによりますが、
特定の MacBook、MacBook Air、MacBook Pro モデルのごく一部のキーボードに、以下の症状 (の 1 つまたは複数) が現れる場合があることが判明しました。
- 文字が勝手に反復入力される
- 文字が表示されない
- 押したキーがスムーズに跳ね返ってこない、または、キーを押した時の反応が一定しない
Apple や Apple 正規サービスプロバイダでは、対象となる MacBook、MacBook Air、MacBook Pro のキーボードを無償で修理させていただきます。
MacBook、MacBook Air、MacBook Pro キーボード修理プログラム – Apple サポート
少なくともAppleが無償交換を発表していたキーが入力されない、または2重, 3重に入力されるバタフライ構造のキーボード問題 (上記)には悩まされることは無くなり、MacBook Pro (2015)以前のMacBookを利用されている方はより薄くキーキャップの広いキーボードを体験できると思います。
新しいデスクトップ用Magic Keyboard
また、MacBook Pro (16-inch, 2019)で逆T字型の矢印キーが復活したことで、現在iMacやデスクトップ用に販売されている「Magic Keyoard w/ w/o テンキー付き」も今後この逆T字型の矢印キーに変更されると思われますが、
2016年にAppleがOLEDディスプレイのTouch IDをMacBook Proに採用すると噂になっていた際に話題に上った「Touch Bar付きのMagic Keyboard」も、バタフライ構造ではなくシザー構造のキーならばあり得るかもしれません。
今後の保証
MacBook Pro (16-inch, 2019)でシザー構造のキーボードが復活したことで、MacBook (2016)からMacBook Pro (15-inch, 2019)までのバタフライキーボードが消えることはないので、AppleはMacBook Pro (15-inch, 2019)がビンテージ/オブソリートするまでの約7年間はシザー構造のキーボードのパーツを保持する必要があるため、サポートの負担は変わらないと思われます。
バタフライ構造キーボードのタイムライン
- 2015年03月
▶従来のシザー構造のキーと比較して4倍の安定性と40%薄く、17%キートップが大きくなった全が新しいバタフライ構造のキーボードを搭載したMacBook Early 2015を発表。 - 2016年01月
▶バタフライ構造を採用したMacBook Early 2015の特定のキーの反応や感覚が他と違う場合があるとして、エアダスターを利用したキーボードの掃除方法を公開。 - 2016年10月
▶第2世代バタフライ構造キーボードやTouch Barを搭載したMacBook Pro Late 2016シリーズを発売。 - 2017年02月
▶MacBook Pro Late 2016ユーザーから特定のキーから他のキーと違う音が聞こえる、またはキーが反応しなくなるといった報告がされる。 - 2017年06月
▶第2世代バタフライ構造のキーボードを採用したMacBook (Retina 12-inch, 2017)と、マイナーアップデートしたMacBook Pro 2017を発売。 - 2017年06月
▶MacBook/MacBook Pro 2017モデルでキートップのシンボル(Commandなど)が変更される。 - 2017年07月
▶MacBook Pro 2016と2017を比較した結果、第2世代バタフライ構造のキーボードがアップデートされていることが確認される(iFixit)。 - 2017年後半
▶MacBook Proキーボードの交換を求めるキャンペーンなどが行われ始める。 - 2018年05月
▶AppleInsiderがシザー構造とバタフライ構造のキーボードを採用したMacBook Proの不具合発生率のデータを公開。 - 2018年06月
▶AppleがMacBook Early 2015およびMacBook Pro 2016モデル以降の一部のキーボードに、文字が入力されない、押したキーのスムーズな跳ね返りや反応がない問題が確認されたとして「MacBook および MacBook Pro キーボード修理プログラム」を開始。 - 2018年07月
▶第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Pro (2018)を発売。 - 2018年11月
▶第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Air (Retina, 13inch, 2018)を発売。 - 2019年01月
▶第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Air (Retina, 13inch, 2018)でもキーの2重入力問題やキー入力の遅れが指摘される。 - 2019年03月
▶AppleのスポークスマンはWSJのインタビューの中で、第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Pro/Air (2018)でもごく一部のユーザーから同様の報告を受けていることを認め謝罪。 - 2019年03月
▶Ruby on RailsのDHHさんが、第3世代バタフライ構造のキーボードの問題はAppleが把握している件数より多いと指摘。 - 2019年04月
▶AppleはMacBookシリーズのキーボード修理について修理工程を見直し、ストアでの対応の場合、翌日までに修理が終わり返却できるようにサービスを展開したもよう。 - 2019年05月
▶元AASPで働いていていたRedditユーザーが、バタフライ構造のキーボードの問題はゴミだけではなく、キー内部にあるラバードームやキーが押されたという電気信号を伝える金属の疲労があると指摘。 - 2019年05月21日
▶Appleが同日に発売したMacBook Pro (2019)までの全てのバタフライ構造のキーボードを「キーボード修理プログラム」に追加。 - 2019年11月13日
▶AppleがMacBook Pro (16-inch, 2019)を発売。バタフライ構造のキーボードを廃止し、新たに再設計された1mmのキーストロークのシザー構造キーボードを採用。 - 2020年03月18日
▶AppleがMacBook Pro (16-inch, 2019)と同じ1mmのキーストロークのシザー構造キーボードを採用したMacBook Air (Retina, 13-inch, 2020)を発売。 - 2020年05月04日
▶AppleがMagic Keyboardを搭載したMacBook Pro (13-inch, 2020)を発売。バタフライ構造のキーボードが終了へ。
コメント
Appleが2016年にバタフライ構造のキーボードを発表したさい
↓
Appleが2015年にバタフライ構造のキーボードを発表したさい
だと思います
ご指摘ありがとうございます。バタフライ構造のキーボードはMacBook (Retina, 12-inch, Early 2015)からでした。
先程修正したので、午後には反映されていると思います。 2016年に → 2015年に
Touch Barはともかく、Touch ID付きはT2のSecure Enclaveをキーボードに付けるってことは無理じゃないですかね?
Appleは最近「iPhoneを探す」に対応したBluetoothデバイス用ビーコン(Bluetoothタグ)の開発を行っているそうなので、例えばMagic Keyboardにキーボード専用のSoCを開発してビーコン化すれば、ペアリングしたMacから離れた場合に通知を出して盗難を防ぐことができると思うので、技術的には可能だと思いますが、Touch IDが無理でも、
1.矢印キーが逆T型になり新しいシザー構造が採用されたMagic Keyboard 2。
2.矢印キーが逆T型になり新しいシザー構造キーとTouch Barが付いたMagic Keyboard with Touch Bar。
のどちらかは今後のiMacやMac Proに同梱されると思います。
iPhone7から閲覧しているのですが、PC表示になっていて、文字が小さくて読みにくくなっていました。