AppleはMacBook Pro (2019)の第3世代バタフライ・キーボードでスイッチの素材をナイロンベースに変更し、いくつかの処理工程を追加。

MacBook Pro
iFixitは便宜上スイッチを2つに分けスイッチカバー(上)とメタルドームスイッチ(下)と呼んでいます。
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 AppleはMacBook Pro (2019)の第3世代バタフライ・キーボードでスイッチの素材をナイロンベースに変更し、いくつかの処理工程を追加したようです。詳細は以下から。


 Appleが現地時間2019年05月21日より発売を開始したMacBook Pro (2019)は、これまでと同じ第3世代のバタフライ構造キーボードが引き続き採用され、同モデルもキーボード修理プログラムの対象となっていますが、AppleはThe VergeなどにMacBook Pro (2019)のキーボードを引き続き第3世代となるものの、このキーボードにはキーが入力されない/多重入力される問題を大幅に削減する新素材が採用されているとコメントしていました。

 これに対し米iFixitは米カリフォルニアのポリテクニック州立大学・材料工学科と協力し、AppleがMacBook Pro (2019)で採用した新しい素材のスペクトル分析を行うことで、その新素材を明らかにしたそうです。

To confirm that the materials are indeed different, we analyzed them using Fourier Transform Infrared (FTIR) spectroscopy. Thanks to Eric Beaton and Cal Poly’s Materials Engineering department for their equipment and expertise!

MacBook Pro 15″ Touch Bar 2019 Teardown – iFixit

MacBook Pro (2019)の新素材

 フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いたスペクトル分析によると、MacBook Pro (2018)のバタフライ構造キーボードのキースイッチカバーに採用されている素材はポリマー(poly-)やTPU系のスペクトルと一致したそうですが、MacBook Pro (2019)のスイッチのスペクトルはポリアミド(ナイロン)を示したそうで、

MacBook Pro (2019)と(2018)のスイッチの素材

加えて、スイッチの下にあるフェライト系ステンレス鋼製と思われるメタルドームスイッチは2018と2019で表面の加工方向が異なり、Appleは最終工程で熱処理や合金による表面処理を行っている可能性が高いそうです。

MacBook Pro (2018)と(2019)の変更

iFixitは便宜上スイッチを2つに分けスイッチカバー(上)とメタルドームスイッチ(下)と呼んでいます。

 この変更は以前Redditユーザーらが指摘していたゴミによるキーが入力されない問題(No-input)を修正するものではなく、多くのユーザーが体験している”E”などの母音キーやスペースキーなど特定のキーで複数回入力(Multi-input)される問題を修正していると思われますが、

動画の中でEric Beatonさんもコメントしている通り、この変更によりキーの不具合が解消されたかは多くの時間とテストが必要なため、その結果を知るにはもう少しい時間がかかりそうです。

バタフライ構造キーボードのタイムライン

  • 2015年03月
    ▶従来のシザー構造のキーと比較して4倍の安定性と40%薄く、17%キートップが大きくなった全が新しいバタフライ構造のキーボードを搭載したMacBook Early 2015を発表。
  • 2016年01月
    ▶バタフライ構造を採用したMacBook Early 2015の特定のキーの反応や感覚が他と違う場合があるとして、エアダスターを利用したキーボードの掃除方法を公開。
  • 2016年10月
    ▶第2世代バタフライ構造キーボードやTouch Barを搭載したMacBook Pro Late 2016シリーズを発売。
  • 2017年02月
    ▶MacBook Pro Late 2016ユーザーから特定のキーから他のキーと違う音が聞こえる、またはキーが反応しなくなるといった報告がされる。
  • 2017年06月
    ▶第2世代バタフライ構造のキーボードを採用したMacBook (Retina 12-inch, 2017)と、マイナーアップデートしたMacBook Pro 2017を発売。
  • 2017年06月
    ▶MacBook/MacBook Pro 2017モデルでキートップのシンボル(Commandなど)が変更される。
  • 2017年07月
    ▶MacBook Pro 2016と2017を比較した結果、第2世代バタフライ構造のキーボードがアップデートされていることが確認される(iFixit)。
  • 2017年後半
    ▶MacBook Proキーボードの交換を求めるキャンペーンなどが行われ始める。
  • 2018年05月
    ▶AppleInsiderがシザー構造とバタフライ構造のキーボードを採用したMacBook Proの不具合発生率のデータを公開
  • 2018年06月
    ▶AppleがMacBook Early 2015およびMacBook Pro 2016モデル以降の一部のキーボードに、文字が入力されない、押したキーのスムーズな跳ね返りや反応がない問題が確認されたとしてMacBook および MacBook Pro キーボード修理プログラムを開始。
  • 2018年07月
    ▶第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Pro (2018)を発売。
  • 2018年11月
    ▶第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Air (Retina, 13inch, 2018)を発売。
  • 2019年01月
    ▶第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Air (Retina, 13inch, 2018)でもキーの2重入力問題やキー入力の遅れが指摘される。
  • 2019年03月
    ▶AppleのスポークスマンはWSJのインタビューの中で、第3世代バタフライ構造キーボードを採用したMacBook Pro/Air (2018)でもごく一部のユーザーから同様の報告を受けていることを認め謝罪。
  • 2019年03月
    ▶Ruby on RailsのDHHさんが、第3世代バタフライ構造のキーボードの問題はAppleが把握している件数より多いと指摘。
  • 2019年04月
    ▶AppleはMacBookシリーズのキーボード修理について修理工程を見直し、ストアでの対応の場合、翌日までに修理が終わり返却できるようにサービスを展開したもよう。
  • 2019年05月
    ▶元AASPで働いていていたRedditユーザーが、バタフライ構造のキーボードの問題はゴミだけではなく、キー内部にあるラバードームやキーが押されたという電気信号を伝える金属の疲労があると指摘。
  • 2019年05月21日
    ▶Appleが同日に発売したMacBook Pro (2019)までの全てのバタフライ構造のキーボードをキーボード修理プログラムに追加。
  • 2019年05月21日
    ▶AppleはMacBook Pro (2019)で第3世代バタフライ構造キーボードを引き続き採用するも、新素材採用し問題を大幅に削減したとコメント。
  • 2019年05月22日
    ▶AppleはWJSに対し、今後もバタフライ構造のキーボードをMacBookシリーズに採用し続けるかは不明と回答
  • 2019年05月24日
    ▶iFixitによるとMacBook Pro (2019)のバタフライ構造のキーボードはスイッチの素材がナイロンに変更され、メタルドームスイッチにいくつかの処理過程が追加されている。

コメント

  1. 匿名 より:

    参加費10万からの永久βテストやってるみたいなもんだなw

  2. 匿名 より:

    1〜2ミリ厚くなっても良いから、パンタグラフじゃなくて普通のメカニカル軸をほしがる層もいるとおもうぞww

  3. 匿名 より:

    クリック感変わるの?

  4. 匿名 より:

    もう諦めてシザーに戻せ

  5. 匿名 より:

    よく分からんけどこの手の工業製品の解析の公表ってどこまで許されるんだろう
    FTIRで解析してポリアミド使っているのが判った位はまぁ良いかもだけど、詳細なチャートまで公表してしまう点がちょっと
    出来は悪いかもしれないがキーボードのキーパーツだろうし

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