iPadをMacのセカンドディスプレイとして利用できる「Luna Display」と「Astropad」、「Duet Display」、「Screens VNC」の比較です。詳細は以下から。
Astropadシリーズを開発しているAstro HQがクラウドファンディングサイトで資金を募って開発したiPadをMacのセカンドディスプレイ化できるグラフィックス・アダプター&アプリ「Luna Display」が出資者のもとに出荷され始めましたが、
これと同じ様な機能を持った3アプリ「Astropad」と「Duet Display」、「Screens VNC」の表示速度やGPU(グラフィックス)アクセレーターの有無、Apple Pencil、iOSとの連携機能などを比較してみました。
比較環境
各アプリの比較に利用したMacはヘッドレス Mac mini Late 2014で、macOSはmacOS 10.13.4 High Sierra以降のグラフィックス・ドライバが原因で解像度が定まらない不具合やWindowServerプロセスがクラッシュする不具合があるため、macOS 10.12.6 Sierraを利用しています。
- Mac mini (Late 2014) Intel Core i5 2.6GHzモデル (吊るし)
- OS : macOS 10.12.6 Sierra Build 16G1510
- iPad Pro (10.5インチ) (吊るし)
- OS : iOS 11.4.1 Build 15G77
比較
macOS 10.12 Sierraのヘッドレス Mac mini (Late 2014)を利用しているので、iPadのMacのセカンドディスプレイ化するAstropadとDuetにはあまりフェアな比較ではありませんが、各アプリの機能としては以下のような違いが有り、
各アプリの機能比較
Luna Display |
Astropad Standard |
Duet Display |
Screens VNC |
|
---|---|---|---|---|
セカンド ディスプレイ |
対応 | (ミラーリング) | 対応 | (ミラーリング) |
HiDPI (Retina) |
対応 | – | ||
ワイヤレス接続 | 対応 | 対応 (年2,200円) |
対応 | |
有線(USB)接続 | 対応 | – | ||
Apple Pencil の筆圧 |
– | 対応 | 対応 (有料) |
– |
iOS機能との連携 | – | 対応 [1, 2] |
||
HiDPI(Retina) @ヘッドレスMac |
対応 | ミラーリングの 場合は対応 |
対応 | – |
GPUアクセレータ @ヘッドレスMac |
対応 | – | 対応 | |
価格 | 79.99ドル (アプリは無料) |
3,600円 | 1,200円 | 2,400円 |
Link | 公式サイト App Store |
公式サイト App Store |
公式サイト App Store |
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以下のスクリーンショットでもわかるようにBuild-inや外部ディスプレイが接続されていないヘッドレス状態のMacで利用すると、DuetはGPUアクセレーターが、AstropadとScreensではHiDPI設定が有効になっていないのが分かります。
レイテンシー
次にレイテンシー(遅延)のテストですが、LunaやAstropad, Duetは“Zero Lag“や“Zero Latency“を特徴として謳っていますが、レイテンシーが「Zero(0)」なのはエミュレートしているディスプレイまでで、それ以降iPadに表示されるまでにはエンコード&デコードが行われるため、ここで遅延が発生します。
以上の動画はiOS 11の「画面録画」機能を利用してダウンロードフォルダのファン表示とUFO TestのFrame Skipping CheckをMac miniで実行したものを撮影し並べたものですが、ヘッドレスMacではDuetとWi-Fi接続のScreens VNCで大きな遅延が発生していることが分かります。
以上の通り、Luna Displayはハードウェアドングル(アダプター)によりMacに仮想ディスプレイを認識させることで、GPUアクセレーターとHiDPIの両方を可能にしており、Duet DisplayもMacBookやiMacのようなBuild-inディスプレイを搭載したMacならばそれなりの機能を発揮できると思われますが、
ディスプレイの仮想化をソフトウェアに依存しているため、macOS 10.13.4 High SierraのようにAppleのグラフィックス・ドライバに不具合があった場合に連鎖的に問題が発生し、ワイヤレス接続機能も2018年08月にDuet Airという年間2,200円(+Duetの購入金額1,200円)のサブスクリプション制に移行してしまったので、Luna Displayの79.99ドルはドングル+ワイヤレス機能と考えれば決して高くない価格だと思います。
追記
LIQUIDエンジンがアップデートされたAstropad&Luna Display v3とDuet Displayでも比較してみました。
追記2
Astro HQが公式のベンチマークスコアを公開しました。レスポンスはLuna Display(Liquid)が他のソリューションより5~9倍程度速いそうです。
コメント
こういう記事まじでありがたいし、今後もやってほしい