iPad Pro (11インチ, 2018)を利用して、iPadを液タブ/サブディスプレイ化できるDuet DisplayとLIQUIDエンジンがアップデートされたAstropad v3.0とLuna Display v3.0を比較してみました。詳細は以下から。
iPad/iPhoneにMacの画面を映し出し、液タブ化するアプリ「Astropad」シリーズを開発しているAstro HQは現地時間2019年01月24日、iPadをMacのセカンドディスプレイ/液晶タブレット化できる「Luna Display」アプリおよび「Astropad」シリーズをv3.0へメジャーアップデートし、
Astropad runs on innovative video technology we call LIQUID — our proprietary tech that ensures stunning image quality and responsiveness on your iPad. In the latest version, LIQUID 3.0, we focused on reducing latency and optimizing GPU performance across all of our products.
The Next Generation of Astro’s LIQUID Tech – Astroblog
元AppleのQuickTimeエンジニアのMatt Rongeさんらが独自開発したレンダリングエンジンLIQUIDを「LIQUID v3.0」にアップデートすることで最大2倍のレスポンス速度とGPUを使用したパフォーマンスで最大4倍の向上が見られるようになったと発表しました。
このリリースノートの中で、レスポンス速度とGPUパフォーマンスという表現が曖昧でしたが、AstroBlogには“Lower latency means a more responsive performance.”という表現と共に、遅延(Latency)が11.32msになったと記載されていたので、今回はこれをチェックしてみました。
ベンチマーク
ベンチマークにはmacOS 10.14.2 Mojaveでハードウェアアクセレーションが可能になったDuet Display v2.0.9とAstropad Standard v2.6.1およびv3.0、Luna Display v1.1.2およびv3.0とiPad Pro (11インチ, 2018)、そしてMacBook Pro (Early 2015)を使用。
各アプリの機能の違いは以下の通りで、ハードウェアは都合上USB 3.0 (5Gbps)までのMacBook Pro (Early 2015)を利用したため、iPad Pro (11インチ, 2018)の解像度でフルカラー@60Hzとなると7.6Gbps以上の転送レートが必要なため厳しいかな?と思いましたが、これについては後述する通りAstropadおよびLuna Displayはフレームをスキップするという方法で調整しているようです。
2388 x 1668ピクセル x 32bitカラー x 60Hz = 7,647,713,280 ~ 7.6Gbps
各アプリの機能比較
Duet Display |
Astropad Standard |
Luna Display |
|
---|---|---|---|
アイコン | |||
セカンド ディスプレイ |
対応 | (ミラーリング) | 対応 |
HiDPI (Retina) |
対応 | ||
ワイヤレス接続 | 対応 (年2,200円) |
対応 | |
有線(USB)接続 | 対応 | ||
Apple Pencil の筆圧 |
対応 (有料) |
対応 | – |
HiDPI(Retina) @ヘッドレスMac |
対応 | ミラーリングの 場合は対応 |
対応 |
GPUアクセレータ | 対応 (macOS 10.14.2 Mojave以降) | 対応 | |
価格 | 1,200円 | 3,600円 | 79.99ドル (アプリは無料) |
Link | 公式サイト App Store |
公式サイト App Store |
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方法
ベンチマーク方法は各アプリとMacBook Proの描画遅延を確認できればいいので、以前も利用したUFO TestのFrame Skipping Checkを10×6マスに設定し、iPhoneのスローモーション撮影(240fps)で撮影して、MacBook ProとiPad Proの間で発生している遅延をチェックしました。
まず、Duet DisplayとLIQUID v3.0へアップデートする前のAstropadとLuna Displayの比較で、iPad Pro上の表示がMacBook Proの表示から1マス遅れると60分の1フレーム秒なので約16.7msの遅延になり、上の動画ではDuet Displayが最も遅延が大きく、AstroBlogのグラフの通り、約90msの遅延と大量のフレームスキップが発生しているのが確認できます。
結果その1
- Duet Display (Mojave) : 5~7フレーム -> 83.5~116.9msの遅延
- Astropad (LIQUID v2) : 4~6フレーム -> 66.8~100.2msの遅延
- Luna Display (LIQUID v2) : 2~3フレーム -> 33.4~50.1msの遅延
次に、LIQUID v3.0にmacOSとiOSアプリをアップデートしたLuna Display v3.0とLuna Display v1.1.2を比較してみると、かなり微妙な差なので、動画を止めて確認しなければわかりませんが、Luna Display v3.0ではフレームの遅延がv1.1.2と比較して同等か1フレーム減り、こちらもAstroBlogの通り10msオーダーの遅延になっているのが確認できます。
結果その2
- Duet Display (Mojave) : 5~7フレーム -> 83.5~116.9msの遅延
- Luna Display (LIQUID v2) : 2~3フレーム -> 33.4~50.1msの遅延
- Luna Display (LIQUID v3.0) : 1~2フレーム -> 16.7~33.4msの遅延
今回、Luna Display v3.0(LIQUID v3.0)のGPUパフォーマンスについてはチェックしていませんが、遅延についてはほぼリリースノート通りで、Duet DisplayおよびAstropad, Luna Display共に、iPadへのバッファオーバーについては表示フレームを減らして対応しているので、USB 3.1対応のiPadとThunderbolt 3(USB-C)ポート搭載のMacを利用されている方はより連続性のある表示が可能になっていると思われます。
- Astropad – AstroHQ
- Luna Display – AstroHQ
コメント
Lunaは早いのは良いんだけど、画質がDuetよりも汚いのが辛い
検証ありがとうございます。
この手の比較検討記事はなかなかないので助かります。
USB接続は遅すぎ。Wi-Fiのほうが絶対早い。