iPadをMacのセカンドディスプレイにできるmacOS 10.15 Catalinaの新機能「Sidecar」のハードウェア要件から外れたMacでもSidecar機能を有効にできる「SidecarPatcher」がリリースされています。詳細は以下から。
Appleは2019年10月にリリースした「macOS 10.15 Catalina」でiPadをMacのセカンドディスプレイとして利用することができる「Sidecar」機能を実装しましたが、このSidecarのハードウェア要件はApple PencilをサポートしたiPadと、
MacはiMac (Retina 5K, 27-inch, Late 2015)以降およびiMac Pro (2017)、MacBook Air 2018、MacBook Pro 2016、Mac mini 2018、iMac Pro (2017)以降のIntelの第6世代Coreプロセッサ「Skylake」を搭載したMacとなっているため、Sidecarを使用できないMacも多いですが、
このSidecarのハードウェア要件から外れたMacやiPadでもSidecarを利用できるようにするパッチ「SidecarPatcher」が公開されています。
SidecarPatcherの使い方
SidecarPatcherが利用できるMac
SidecarPatcherを公開したのはカリフォルニア大学アーバイン校のJinwoo Kimさんで、このパッチを利用することでmacOS 10.15 Catalina環境でもSidecarをサポートしていない以下の機種IDのMacでSidecar機能を有効にすることが出来ます。機種IDはシステム情報アプリか以下のsysctlコマンドでチェックしてください。
- iMac
- iMac (Late 2012) ~ iMac (Retina 4K, 21.5-inch, Late 2015)までのiMac13,1, iMac13,2, iMac13,3, iMac14,1, iMac14,2, iMac14,3, iMac14,4, iMac15,1, iMac16,1, iMac16,2
- Mac mini
- Mac mini (Late 2012) ~ Mac mini (Late 2014)のMacmini6,1, Macmini6,2, Macmini7,1
- Mac Pro
- Mac Pro (Mid 2010) ~ Mac Pro (Late 2013)までのMacPro5,1, MacPro6,1
- MacBook
- MacBook (Retina, 12-inch, Early 2015)以降のMacBook8,1
- MacBook Air
- MacBook Air (Mid 2012) ~ MacBook Air (2017)までのMacBookAir5,1, MacBookAir5,2, MacBookAir6,1, MacBookAir6,2, MacBookAir7,1, MacBookAir7,2
- MacBook Pro
- MacBook Pro (Mid 2012) ~ MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2015) までのMacBookPro9,1, MacBookPro9,2, MacBookPro10,1, MacBookPro10,2, MacBookPro11,1, MacBookPro11,2, MacBookPro11,3, MacBookPro11,4, MacBookPro11,5, MacBookPro12,1
また、iPadについてはAppleが公表しているハードウェア要件はApple PencilをサポートしたiPadでしたが、この要件はブラックリスト制となっておりJailbreakなどを必要とせずMac側にパッチを当てることで解除できるそうで、以下の機種IDのiPadでもSidecarを利用できるそうなので、気になる方は「Mactracker」アプリの[This Device]で、使用しているiPadの機種ID[Model Identifier]をチェックしてみてください。
iPad4,1, iPad4,2, iPad4,3, iPad4,4, iPad4,5, iPad4,6, iPad4,7, iPad4,8, iPad4,9, iPad5,1, iPad5,2, iPad5,3, iPad5,4, iPad6,11, iPad6,12
SidecarPatcherを実行する前に
SidecarPatcherはAppleのプライベートフレームワーク内にある「SidecarCore」を書き換えてSidecar機能を有効にしてくれますが、バックアップ機能は搭載していないので、Jinwooさんはパッチを利用するユーザーに対し万が一に備えてどのような方法でもいいので以下のパスにあるSidecarCoreをバックアップしおくように求めています。
THIS SCRIPT DOESN’T MAKE SidecarCore BACKUP SO YOU HAVE TO DO THIS MANUALLY. PLEASE BACKUP /System/Library/PrivateFrameworks/SidecarCore.framework/Versions/A/SidecarCore. PLEASE. PLEASE. PLEASE.
main.swiftより
Command Line Toolsを入手してSIPをOFFに
次に、Apple Developerサイトから「Command Line Tools」をダウンロードし、Macをリカバリーモードで起動しAppleがOS X 10.11 El Capitanから導入したSIPをOFFにして再起動します。
csrutil disable
後はSidecarPatcherをgit clone&実行するだけでSidecar非サポートのMacやiPadでもSidecar機能が有効になりますが、以下のスクリーンショットを見ても分かる通り、HEVC/H.265のハードウェアエンコードがサポートされていないMacやiPadでのSidecarはプロファイル上では24-bitカラー(ARGB8888)となっているものの再現に限界があるようで、
git clone https://github.com/pookjw/SidecarPatcher chmod +x SidecarPatcher/main.swift sudo swift SidecarPatcher/main.swift
Wi-Fi診断のSidecar診断を見ても、SidecarをサポートしたMac/iPadでは転送レイテンシ(遅延)が~1msオーダーなのに対し、非サポートのMac/iPadでは10~100msオーダーで確認でき、
フレームレートもプロファイル上は60Hzを示すものの、実際には60HzどころかDuet Displayのようにフレームスキップも発生するので、Apple Pencilを利用してペイントアプリを利用するのには向きませんが古いMacやiPadでSidecarを体験する程度でよい方は試してみてください。
おまけ
SidecarCoreを元に戻す場合はインストーラーからシステムの修復を行うか、README.mdにある通りにパッチを当てた「SidecarCore」をバックアップした「SidecarCore」に置き換えてください。
また、SidecarPatcherを少しGUI化した「Free Sidecar」というアプリも公開されているので、興味のある方はチェックしてみてください。
コメント
SidecarPatcherもFree Sidecarも上手く行かぬ。iMac 27 Late2015と初代iPad Air(iPad4,1)の組み合わせ。iPadの方がiPad OSじゃないところに疑問を感じるが、どっちも対象モデルに「iPad4,1」との記述がある。本当に可能なのか?
手間暇掛けて可能になっても実用的でない
Yam Displayを使いましょう