MacBook Pro (14/16インチ, 2021)に搭載されているApple M1 Pro/MaxのGPUスコアは前Intel MacBook ProのRadeon Pro 5500Mと並ぶものの、アプリケーションベースではそれ以上になるようです。詳細は以下から。
Appleは現地時間2021年10月18日にオンラインで開催したスペシャルイベント「Unleashed.」の中で、昨年11月に発表したApple Silicon「Apple M1チップ」と同じ5nmプロセスでハイエンドMac向けに開発した「M1 Max/M1 Pro」を発表し、
このApple M1 Pro/MaxチップにはM1 Proチップが最大16-Core、M1 Maxチップが最大32-CoreのGPUを搭載可能で、その性能はAMD Radeon Pro 5X00M dGPU搭載の前Intel MacBook Pro (16インチ, 2019)を上回るとされていたので、
Geekbench Browserに登録されたMacBook Pro (14/16インチ, 2021)のグラフィックス(Metal)ベンチマークスコア[MacBook18.x]をベースに比較してみました。
Apple M1 Pro/MaxチップのGPU性能
Apple M1 Pro/MaxチップのGPUはCPUと同じくコア数に違いがあり、Apple M1 Proチップは14-Coreまたは16-Core、M1 Maxチップは32-Coreまたは16-Coreで、その違いはGeekbenchのデータからは判断できない*ため、Apple M1 Pro/Maxで分類していますが、
Apple M1シリーズ
Apple M1 Max |
Apple M1 Pro |
Apple M1 |
|
---|---|---|---|
ロゴ | |||
CPU | 10-Core 高性能コア:8-Core 高効率コア:2-Core |
8-Core or 10-Core 高性能コア:6-/8-Core 高効率コア:2-Core |
8-Core 高性能コア:4-Core 高効率コア:4-Core |
GPU | 32-Core or 24-Core |
16-Core or 14-Core |
8-Core or 7-Core |
メモリ | 64GB(Max) 32GB |
32GB(Max) 16GB |
16GB(Max) 8GB |
メモリ帯域 | 400GB/s | 200GB/s | 66GB/s |
Neural Engine | 16-Core | ||
トランジスタ数 | 570億 | 337億 | 160億 |
外部ディスプレイ | 最大4枚 | 最大2枚 | 最大1枚 |
I/O | Thunderbolt 4 | Thunderbolt/USB 4 |
Geekbench Browserに投稿されたM1 Pro/MaxのMetalスコアを最新の3スコアを平均してプロットしたところ、Apple M1 ProチップのMetalスコアが以下のMacのMetalスコアと同程度の41,000で、
- MacBook Pro (16インチ, 2019)の最上位のAMD Radeon Pro 5600M
- iMac (Retina 5K, 27-inch, 2020)のAMD Radeon Pro 5500 XT (8GB GDDR6メモリ搭載)
Apple M1 MaxチップのMetalスコアが、
- macOS 10.15.1 CatalinaでサポートされたAMD Radeon RX 5700 XT
- iMac Pro (2019)のAMD Radeon Pro Vega 64グラフィックプロセッサ(16GB HBM2メモリ搭載)
と同程度の67,000となっており、
Appleはスペシャルイベント「Unleashed.」の中で、Apple M1 Proチップのグラフィックス・パフォーマンスはApple M1の最大2倍、M1 Maxは最大4倍になると発表し、
Apple M1チップのMetalスコアが約21,000で、AMDとアーキテクチャが異なるため一概に比較できませんが、AppleによるとM1 ProチップのGPUのEU(execution units)がAMD Radeon Pro 5500Mとほぼ同じ2,048で、演算性能が5.2TFLOPS、M1 MaxチップのGPUがAMD Radeon Pro Vega 64と同じ4,096EU&10.4TFLOPSとなっていることを考慮すると、上記のスコアはそれなりに正しいと思われます。
GPU | Compute Units |
Stream/Execution Processors |
FP32 (TFLOPS) |
メモリ | TBP |
---|---|---|---|---|---|
AMD Radeon Pro 5300M |
20 | 1,280 | 最大3.2 | GDDR6 4GB |
50W |
AMD Radeon Pro 5500M |
24 | 1,536 | 最大4.0 | GDDR6 4GB or 8GB |
|
AMD Radeon Pro 5600M |
40 | 2,560 | 最大5.3 | HBM2 8GB |
|
Apple M1 Pro | 16-Core | 2,048 | 最大5.2 | Unified Memory 最大32GB |
不明 |
AMD Radeon Pro Vega 64 |
64 | 4,096 | 最大11.06 | HBM2 16GB |
250W |
Apple M1 Max | 32-Core | 4,096 | 最大10.4 | Unified Memory 最大64GB |
不明 |
アプリケーション・ベースでのパフォーマンス
Geekbenchを利用したグラフィックス・ベンチマーク(Metal)では、前MacBook Pro (16インチ, 2019)のAMD Radeon Pro 5600Mと比較してApple M1 ProチップのGPUは同程度、M1 Maxチップは約1.5倍となっていますが、Appleはスペシャルイベントや公式サイトで、Final Cut ProやMaxon Cinema 4D、昨日アップデートされたBlackmagic DaVinci Resolveなどを利用した実際のパフォーマンス比較を公開しており、
それによると、GPUの強化だけでなく、最大64GBまでアップデートできる200~400GB/sのメモリ帯域を持つUnified Memoryや機械学習用の16-Core Neural Engine、そしてH.264とHEVC(H.265)に加えApple ProResのハードウェア・アクセラレーションをサポートしたメディアエンジンを1つのチップに収めたことで、
MacBook Pro (16インチ, 2021)のApple M1 Pro/MaxプロセッサはRadeon Pro 5600Mと比較して1.7 ~ 4.5倍のパフォーマンスを発揮できるようになっているそうなので、購入された方は利用しているアプリケーションで実際の性能をチェックしてみてください。
おまけ
ちなみに、IntelからApple Siliconへの移行計画の最終年となる2022年には、最大40コアCPU/128コアGPUが選択可能なMac Proが用意されるだろうと噂されています。
- MacBook Pro – Apple
- Metal Benchmarks – Geekbench Browser
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