Apple M4チップはArm SEM命令のサポートにより、物体検出など一部の機械学習ワークロードがApple M2の1.5~2倍となっているもよう。

Apple M4 vs M3, M2, M1 Geekbench v6.3 Apple Silicon Mac
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 Apple M4チップはArm SEMのサポートにより、物体検出など一部の機械学習ワークロードがApple M2の約2倍となっているようです。詳細は以下から。

Apple M4チップ

 Appleは現地時間2024年05月07日、タンデムOLEDテクノロジーを採用したUltra Retina XDRディスプレイを搭載しApple史上最も薄いiPad Pro (M4)を発表するとともに、そのiPad Proに初めて搭載する第2世代の3nmテクノロジーを採用したApple M4チップを発表しました。

Apple M4チップを発表

 このApple M4チップは、Apple史上最も高速なNeural Engineを搭載し、iPad Pro (M4)ではワンタップで被写体を背景から分離できるFinal Cut Proのシーン除去機能などが、より高速に実行できると発表されていますが、

Apple M4により高速化される物体検出

Geekbenchに投稿された10コアのCPUのApple M4チップを搭載したiPad Pro (M4)と思われるCPUベンチマークスコアを、ファイル圧縮やナビゲーション、HTML5ブラウザ、PDFレンダラーなど各ワークロードにわけより細かく見ていくと、1コアあたりのパフォーマンス(Single-Core)で物体検出(Object Detection)のワークロードが特出して高くなっているのが確認できます。

Apple M1~M4までのGeekbench 6.3 (Single-Core workloads)

Apple M1~M4までのGeekbench 6.3 (Single-Core workloads):クリックで拡大

 Geekbenchを開発するカナダPrimate Labs Inc,のJohn Pooleさんは、今年04月にリリースしたGeekbench v6.3.0は、Armv9アーキテクチャでサポートされた、Scalable Vector Extensions (SVE&SVE2)をベースにCPUでの行列処理のスループットを効率化させるScalable Matrix Extension(SME)」命令が利用可能になっており、

Geekbench for Mac and iPhone 6.3.0

ピュアな機械学習ワークロードである物体検出がApple M2と比較して2倍以上に、いくつかの機械学習処理を含む背景ぼかし(Background Blur)と写真ライブラリ(Photo Library)ワークロードも1.5倍以上のスコアを出していることから、SME命令のサポートによるものではないかと推測しているようです。

Geekbench v6.3のCPUベンチマーク

 また、Apple M4チップ搭載のiPad Pro (M4)では、Ray TracerワークロードもApple M2チップと比較して約1.5倍のスコアとなっていますが、これはiPadには採用されていないApple M3チップでGPU追加された、ハードウェア・アクセラレーテッド・レイトレーシングやメッシュシェーディングなどの新しいレンダリングエンジンが、Apple M4にも採用されていることが影響していると思われます。

ハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディングとレイトレーシング

Apple M3チップのGPU

それ以外のワークロード

 Apple M4チップでは特定の機械学習ワークロードでスコアが上昇する一方、他のワークロードのパフォーマンスは、Apple M3から0.4GHz上昇し最大クロック数が4.4GHzとなったCPU/GPU、帯域幅が20%増え120GB/sとなったユニファイドメモリに依存するため、

Apple M2とApple M4のパフォーマンス比較

Apple M2とApple M4のパフォーマンス比較

それ以外のワークロードはM3と比較して十数%のアップにしかなっておらず、クロックあたりの命令実行数であるIPC(Instructions Per Cycle)は物体検出ワークロードを含んだIPCが11%を超えるが、物体検出を除けば半分(6.4%)になるのも事実だという指摘もでているので、WWDC24で発表されるmacOS 15やiOS/iPadOS 18の新機能に機械学習(SME)がどれだけ影響するかで、M4 Macの評価も変わってくると思われます。

おまけ

 ちなみに、Geekbench v6.xのベンチマークスコアは、以上の通り、Geekbench v6.3でSME命令がサポートされたことで、Geekbench v6.3とv6.2以下では、あまり比較して欲しくないとの事だったので、手持ちのApple M1チップ搭載のiPad Pro 11インチ (第3世代)と、Apple M2チップ搭載のiPad Pro 12.9インチ (第6世代)、MacBook Air (13インチ, M3, 2024)でGeekbenchを取り直したので、参考程度にどうぞ。

Apple M4 Apple M3 Apple M2 Apple M1
ロゴ Apple M4チップ Apple M3 Apple M2チップ Apple M1
CPU
Single-Core
3767 3066 2605 2391
CPU
Multi-Core
14677 12122 10120 8762
Geekbench Geekbench.com Geekbench.com Geekbench.com Geekbench.com

CPUワークロード

Apple M4, M3, M2, M1のGeekbench v6.3 CPUベンチマーク

クリックで拡大:Apple M4, M3, M2, M1のGeekbench v6.3 CPUベンチマーク

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