macOS 15 SequoiaではAVFのアップデートにより、macOS仮想マシン内でのiCloudアカウントの利用や、Apple M3チップ以降のMacでLinux仮想マシンのネスト(Beta)がサポートされるようです。詳細は以下から。
Appleは2020年06月に開催した世界開発者会議WWDC20で、MacのCPUをIntel(x86_64)からApple Silicon(arm64)へ移行するのを前に、開発者がApple Silicon Macへの移行しやすいよう、macOS 11 Big Surに仮想マシンを簡単に作成/管理できるハイレベルAPI「Apple Virtualization Framework (AVF)」を導入すると発表し、
その後、WWDC21で発表されたmacOS 12 Montereyでは、Apple Silicon MacでmacOSの仮想化がサポートされ、WWDC22ではmacOS 13 Venturaで、macOS仮想マシンでMetalによるGPUアクセレーションやトラックパッドのサポート、Appleのバイナリトランスレータ「Rosetta 2」がLinux仮想マシンにも対応し、Linux x86-64バイナリがARM Linux仮想マシン上で動作することが発表され、
WWDC23では、macOS 14 Sonomaで仮想マシンのディスプレイの動的なリサイズや仮想マシンの停止と復元、NBD(Network Block Device)とNVMeストレージ、Macキーボード、Rosetta 2 on Linuxのパフォーマンスの向上などが発表されました。
WWDC24でのAVF
Appleが現地時間2024年06月11日から開催していた世界開発者会議WWDC24では、Virtualizationフレームワークに関する発表はなかったものの、Appleは期間中にAVFのドキュメントをアップデートし、macOS 15 Sequoiaでは、macOS仮想マシン上でiCloudが利用可能になると発表しています。
In macOS 15 and later, Virtualization supports access to iCloud accounts and resources when running macOS in a virtual machine (VM) on Apple silicon. When you create a VM in macOS 15 from a macOS 15 software image (an .ipsw file) using a VZMacHardwareModel that you obtain from a VZMacOSRestoreImage,
Using iCloud with macOS virtual machinesより
iCloudをmacOS仮想マシンで使う際に、新しい仮想マシンは問題ありませんが、移動された仮想マシンやコピーされた仮想マシンでは、新たにAVFがそれを検出し、新しいIDが発行されるため、以下の通りユーザーの再承認が必要となるそうです。
- 新しいmacOS仮想マシン
- ▶ Apple Silicon Mac上に作ったmacOS仮想マシン内ではiCloudアカウントやiCloud上のリソースへアクセス可能。
- 移動されたmacOS仮想マシン
- ▶仮想マシンを別のMacから移動してきた場合、AVFはホストMacのSecure Enclaveから情報を取得し、新しい仮想マシンのIDを作成、ユーザーが再認証することでiCloudが仮想マシンへのデータ同期を再開できる。
- 複製されたmacOS仮想マシン
- ▶仮想マシンを同じホストで複製(コピー)&起動しようとするとAVFはコピーされた仮想マシンを検出し、オリジナルの仮想マシンのクローンとして扱い、次に実行されたコピーした仮想マシンを2番目のクローンとして扱い、新しい仮想マシンとしてIDを作成、これにより複数の仮想マシンに別々の識別情報が与えられるため、ユーザーの再認証後に、再びiCloudを利用することができます。
また、macOS仮想マシンでのiCloudサポートはmacOS 15以降が必要なため、古いmacOS仮想マシンを利用されている方は、macOS 15以降の仮想マシンへデータを移行する必要があるそうで、古いmacOS仮想マシンをmacOS 15のインストーラーを利用しアップグレードするだけではiCloudのサポートは提供されないそうなので注意してください。
macOS 15 SequoiaのAVFでBetaサポート
また、AppleはmacOS 15 SequoiaのAVFでUSBコントローラやLinux仮想マシンの機能強化を行っており、現在のところBeta提供ですが、その中にはLinux仮想マシンのネスト仮想化(Nested Virtualization)に関するAPIが含まれており、
この機能はApple M3チップ以降のMacで利用可能になるそうなので、現在、Apple M2チップ搭載モデルが最新モデルとなるMac StudioやMac Pro、Mac miniを開発用に購入するよりは、M4アップデートを待った方がいいかもしれません。
- Virtualization – Apple Developer Documentation
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