Apple M3チップのHWアクセラレーテッド・レイトレーシングをサポートした「Blender 4.0」では、Apple M3 Max (40コアGPU)がM2 Ultra (76コアGPU)のベンチマークスコアを上回る。

Apple Silicon MacのBlenderfベンチマーク Apple Silicon Mac
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 Apple M3チップのHWアクセラレーテッド・レイトレーシングをサポートした「Blender 4.0」では、Apple M3 Max (40コアGPU)がM2 Ultra (76コア)のベンチマークスコアを上回る結果になっています。詳細は以下から。

Apple M3 Maxチップのロゴ

 Blender Developersは現地時間2023年11月14日、macOSやWindows、Linuxに対応した3DモデリングアプリBlenderのメジャーアップデートとなるBlender 4.0をリリースし、同バージョンでAppleが11月に発売したMacBook ProやiMacに採用されているApple M3チップファミリーに搭載されているAppleの次世代GPU(Apple family 9 GPU)の機能で、

Blender v4.0とM3 MacBook Pro

光の特性をモデル化しリアルで物理的に正確な3Dレンダリングを実現する「ハードウェア(HW)アクセラレーテッド・レイトレーシング(RT)」がCyclesのMetal GPUバックエンドでサポートされた事が発表されましたが、

Cycles Apple M3 tuning including hardware raytracing

This PR adds tunings for the newly announced M3 family of chips. In particular, MetalRT will be enabled as the automatic default for intersection testing on M3 and beyond to take advantage of hardware raytracing. This will result in significant path-tracing speedups, as well as faster BVH builds.

Cycles Apple M3 tuning including hardware raytracing – Blender

このBlender v4.0を利用した「Blender Benchmark (Blender Benchmark Launcher/CLI 3.1)」では、30コアGPUを持つApple M3 Maxが76コアGPUのApple M2 Ultraを超えるスコアを出しているようです。

Blender 4.0 Benchmark

AppleはApple Silicon Macを発表して以来、AppleエンジニアリングチームのMichael JonesらがBlenderの開発に参加し、MetalやApple Silicon GPUの機能をBlenderに取り込んでいます。

MetalRT

 AppleはApple M3チップファミリー搭載のMacとA17 Proチップ搭載のiPhone 15 Proシリーズ発表後、Tech Talks「Explore GPU advancements in M3 and A17 Pro」を公開し、その中で、MetalRT(Metal Ray Tracing) APIをサポートする新しいBlenderでは、H/Wアクセラレーテッド・レイトレーシングをサポートするApple M3チップファミリーがM2チップファミリーのレンダリング性能を大きく上回るとコメントしていましたが、

Apple M3 MaxとApple M2 Maxチップを搭載したMacBook ProとBlender 4 (beta)を利用したレンダリング

Blender Benchmarkに投稿されたベンチマーク結果を見ると、H/Wアクセラレーテッド・レイトレーシングをサポートしたBlender 4.0のレンダリングエンジンを利用したApple M3チップファミリーのBlender Benchmarkのスコア*がBlender 3.6と比較して大きく上昇し、40コアGPUを搭載した最上位のApple M3 Maxチップのスコアが、現在Apple Siliconとして最多のGPUコアを持つApple M2 Ultra (76コアGPU)を上回るスコアを出しているようです。

Apple SiliconのBlender Benchmark

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*時間内にレンダリングされたサンプルを[Samples per minute]として数値化したスコア。M2 Ultra (60コア)のBlender 3.6ベンチマークのスコアはまだ投稿されていないため不明です。

 この傾向は、Apple M3 Proチップでも同じで手持ちのApple M1~M3 Proチップで試して見ましたが、やはりApple M1 Pro, M2 ProチップではBlender BenchmarkのスコアがBlender 4.0で数%低下するのに対し、Apple M3 Proチップでは約10%ほどスコアが上昇しており、

Apple M1~M3 ProチップのBlender Benchmark

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これにより、Blender 4.0のベンチマークスコアではApple M3 Pro (14コアGPU)がM1 Ultra (48コアGPU)のスコアを、M3 Pro (18コアGPU)のスコアがM2 Max (30コアGPU)のスコアを上回り、Apple M3 (10コアGPU)でもM1 Max (24コアGPU)やM2 Pro (16コアGPU)と同等のスコアになるようです。

Apple M3とM3 ProチップのBlender ベンチマーク

 BlenderのようにApple M3チップファミリーやA17 ProチップのH/Wアクセラレーテッド・レイトレーシングの恩恵を受けられるアプリは限られていますが、AppleはiPhone 15 Proを発表した際、ソフトウェア(S/W)ベースのレイトレーシングを利用すると、たった8FPSのゲームのワンシーンが、H/Wアクセレーション・レイトレーシングを利用することで4倍以上の30FPSで滑らかに表示できるようになるとコメントしていたため、

A17 Proのハードウェアレイトレーシング

来年、Apple M3チップ搭載のiPad ProやiPad Airが発売されれば、MetalRTをサポートしたAAAタイトルのゲームをより滑らかにプレイできるようになると思われます。

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