Spectre脆弱性を修正した古いiPhoneのパフォーマンスが40~60%低下するという事はないそうです。詳細は以下から。
GoogleのProject Zeroが現地時間2018年01月03日に公開したIntelやARMなど投機的実行機能を持つCPUに対するサイドチャネル攻撃により、同プロセッサを搭載したデバイスで情報が窃取される可能性のある「Spectre(CVE-2017-5753, CVE-2017-5715)」脆弱性の緩和策として、Appleは01月08日付けでモバイルSafariのアップデートを含んだ「iOS 11.2.2 Build 15C202」を公開しましたが、
その後、オランダのMelvin Mughalさんという方がGeekbenchを利用してiOS 11.2.2アップデート前後でiPhone 6のパフォーマンスを比較したところSpectre脆弱性を修正したiPhone 6(iOS 11.2.2)が、iOS 11.1.2のiPhone 6と比較してパフォーマンスが最大50%程度低下するという結果を公開し“Hacker News“などで話題になったそうですが、
I’ve run it again like you asked (exact same scenario) after waiting some hours. Numbers still close to each other, overall bumped a bit but still way down from before the patch. pic.twitter.com/lIl7oSkbOa
— Melvin Mughal (@melv1n) 2018年1月11日
Conclusion
All numbers point to the same conclusion: it took a serious hit in performance at every possible level. A lot of benchmark levels show a significant decrease in performance on my iPhone 6 up to 50% on some benchmark levels. Although this is not the best news, this security update is a ‘necessary evil’. It demonstrates a message the security community have reminded us time and time again: security can’t be compromised over performance.iPhone performance benchmarks after Spectre security update – Melv1n
Hacker Newsのコメントや9to5MacのBenjamin Mayoさん、iMoreのRene Ritchieさんらが指摘しているように、Spectre脆弱性は主にSafariやWebKitの修正のため、この様な結果(ストーリー)になるのはそもそもおかしく、GeekbenchのJohn Pooleさんがチェックしたところ、この結果はiPhoneの省電力モードが有効になった時のスコアだったそうです。
Ugh. The difference is due to low-power mode. The first result was run under normal-power mode, the second run under low-power mode. This is a complete non-story.
— John Poole (@jfpoole) 2018年1月15日
検証
実際、手持ちの古いiPhone 6を利用し通常モードと省電力モードでGeekbenchのスコアを出してみましたが、以下の通りパフォーマンスが20~40%程度低下しMughalさんと同様の結果になったので、
Mughalさんの結果 | Before Spectre update | After Spectre update | Performance change |
---|---|---|---|
iPhone type | iPhone 6 | ||
iOS version | iOS 11.1.2 | iOS 11.2.2 | |
Single-Core Score | 1561 | 924 | -41% |
Multi-Core Score | 2665 | 1616 | -39% |
この結果は省電力モードによるもので、Spectre脆弱性の緩和策によりiPhoneのパフォーマンスが50%も低下することはないようで、Appleの検証ではMeltdown脆弱性の緩和策後も測定可能な低下は見られなかったそうです。(macOSのSafariのJavaScriptスコアにも大きな影響は見られませんでした)
Apple では、iOS 11.2、macOS 10.13.2、tvOS 11.2 において Meltdown の影響緩和策をすでにリリースしています。watchOS には影響緩和策は必要ありません。公開ベンチマークを使った当社の検証では、GeekBench 4 ベンチマークや一般的な Web ブラウジングベンチマーク (Speedometer、JetStream、ARES-6 など) による測定では、2017 年 12 月のアップデートにおける修正後の macOS および iOS のパフォーマンスには測定可能な低下が見られませんでした。
コメント
40%落ちるって結構なものでは?
予防線張り過ぎだな
40%(から50%)落ちるてのは省電力モードをONにした時だよ。
自分の持っているiPhone 6sではSpectre脆弱性パッチ後のGeekbenchはほぼ変わっていない。
良くも悪くもTwitterの影響力って大きいですね
まあ、たとえデマでもこれで旧機種の延命に繋がるならユーザーとしては歓迎です