SoftBank TechnologyがApple Script Editorおよびrshの脆弱性によりOS X 10.10.5で権限昇格が可能になる脆弱性に関する調査レポートを公開しています。詳細は以下から。
OS X 10.10 YosemiteではrootpipeやDYLD_PRINT_TO_FILEを利用した権限昇格のゼロデイ脆弱性のPoCが報告され、1行でOS Xを「rm -rf /」出来るOne Line Commandも考案され話題になりましたが、
- 2015年4月10日
▶OS X をパスワード無しで管理者のユーザー権限をroot化できる脆弱性「rootpipe」の概要が公開され、2011年からOS Xに隠れていたバックドア APIも明らかに - 2015年4月21日
▶Macの管理者ユーザー権限をパスワード無しでroot化できる脆弱性「rootpipe」はOS X 10.10.3アップデートでも完全には修正されていないもよう - 2015年7月22日
▶OS X YosemiteのDYLD_PRINT_TO_FILEに権限昇格の脆弱性が発見され、OS X 10.10.4でも実行可能なExploit Codeも公開される。 - 2015年7月23日
▶OS X YosemiteのDYLD_PRINT_TO_FILEに存在する権限昇格脆弱性を利用して、1行でsudoersファイルを書換え誰もがrootユーザー昇格できる実行コードが考案される - 2015年7月23日
▶OS X 10.10.4までに存在するroot権限昇格の脆弱性を使用してYosemiteを「rm -rf /」してみた - 2015年7月23日
▶OS X Yosemiteに存在するDYLD_PRINT_TO_FILEの権限昇格脆弱性を抑える「SUIDGuard」カーネル拡張を使ってみた。 - 2015年8月16日
▶OS X 10.10.5 Yosemiteに早くも権限昇格のゼロデイ脆弱性が発見され、Exploit codeがGitHubで公開される - 2015年8月18日
▶OS X 10.10.5 Yosemiteでも実行可能な権限昇格脆弱性をブロックする「NULLGuard」が公開
新たにSoftBank Technologyが11月2日付けで以下の2つの脆弱性を利用し、リモートからroot権限を取得できる可能性についての調査レポートを公開しています。
- CVE-2015-7007:OS X 10.11 El Capitanで「攻撃者がApple Script Editorを用いてApple Scriptの実行でユーザー確認の要求を回避させる脆弱性」→ OS X 10.11.1で修正
- CVE-2015-5889:OS X 10.10.5 Yosemiteで「ローカルユーザが root 権限を取得し、任意のコードを実行できる脆弱性」→ OS X 10.11で修正
検証
SoftBank Technologyの調査レポートでは「攻撃者が用意したサイトにアクセスさせることでリモートから任意の実行コードを実行させ(CVE-2015-7007を利用)、その後権限昇格が行える脆弱性(CVE-2015-5889)を利用することでroot権限の奪還が可能」としており、
検証結果を見ると、攻撃サイトにアクセスしたユーザー(pentest)のシステム制御を奪還し、任意のコードを実行させることにより、管理者権限であるrootユーザーへと昇格しているのが確認できます。
下図(上図)は、誘導先のコンピュータ(Linux)のターミナルの画面で、ターミナル上でターゲットシステムの制御を奪取した状態です。
黄線で囲まれた部分は、リモートから任意のコードが実行可能な脆弱性(CVE-2015-7007)を利用してターゲットシステムの制御を奪取した直後のもので、ホスト情報の他に奪取した一般ユーザー(pentestユーザー)の情報が表示されています。一方で、赤線で囲まれている部分は、権限昇格が行える脆弱性(CVE-2015-5889)を利用して、一般ユーザーから管理者権限ユーザーであるrootへと昇格を行っています。ユーザーの情報を表示するコマンドにより、root権限へ昇格できていることが確認できます。
[CVE-2015-7007、CVE-2015-5889 – 脆弱性調査レポート – SoftBank Technology]
Appleはこれらの脆弱性を修正する「OS X El Capitan v10.11.1 and Security Update 2015-007」公開していますが、OS X 10.10.xよりも前のバージョンにはこの脆弱性を修正するパッチがリリースされていないため、SoftBank TechnologyではOS X 10.11.1へアップデートすることを勧めています。また、SoftBank Technologyのサイトにはこの検証に関する詳しい情報やPDFが用意されているので、興味のある方は関連リンクからどうぞ。
関連リンク:
- CVE-2015-7007, CVE-2015-5889 調査レポート – SoftBank Technology
- CVE-2015-7007, CVE-2015-5889 – Rapid7
- OS X El Capitan v10.11 のセキュリティコンテンツについて – Apple
- OS X El Capitan v10.11.1 およびセキュリティアップデート 2015-007 のセキュリティコンテンツについて – Apple
コメント
最新以外は放置ってのも切なくなるねぇ