Apple、iPhoneのパフォーマンスがバッテリーの劣化により低下する問題について説明。

iPhoneのバッテリーとパフォーマンス問題 iPhone
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

 AppleがiPhoneのパフォーマンスがバッテリーの劣化により低下する問題について説明しています。詳細は以下から。


 Appleは現地時間2017年12月28日、iPhoneのパフォーマンスがバッテリーの劣化により低下する#iPhoneSlow問題について、このような現象が起こることを認めユーザーに通知すること無くこの機能をiOSに取り入れたことについて謝罪し説明しています。

iPhoneのバッテリーとパフォーマンス問題

We’ve been hearing feedback from our customers about the way we handle performance for iPhones with older batteries and how we have communicated that process. We know that some of you feel Apple has let you down. We apologize.

A Message to Our Customers – Apple

声明

 Appleの声明では、まず「Appleはこれからも(そしてこれまでも)製品の寿命を意図的に低下させたり、ユーザーエクスペリエンスを低下させたりする事は決してない」として、一部で噂されているAppleが意図的にiPhoneの性能を低下させてiPhoneの買い替えを促す事はないと説明し、

First and foremost, we have never — and would never — do anything to intentionally shorten the life of any Apple product, or degrade the user experience to drive customer upgrades. Our goal has always been to create products that our customers love, and making iPhones last as long as possible is an important part of that.

A Message to Our Customers – Apple

この現象(電源管理機能)はiOS 10.2.1で旧モデルのiPhoneが突然シャットダウンしてしまう問題を解決する目的でパフォーマンスのピーク性能を管理するために実装した機能で、当初iPhone 6/6s/SEシリーズに導入されiOS 11.2ではその対象が広がりiPhone 7シリーズでも導入されたそうで、

また、iPhone が突然シャットダウンするのを防ぐために、ピーク作業時の電源管理も改善されました。

実際、Geekbenchを開発&提供しているカナダのPrimate LabsがiPhoneのベンチマークスコアと、正規化されたiPhoneの数(カーネル密度推定)をプロットした図にもiOS 10.2.1以降に低スコアのiPhoneの数(Smaller peaks)が増え、iOS 11.2ではその現象がより鮮明になったことが確認出来ます。

iPhone vs Geekbench

The distribution of iPhone 6s scores for iOS 10.2.0 appears unimodal with a peak around the average score. However, the distribution of iPhone 6s scores for iOS 10.2.1 appears multimodal, with one large peak around the average and several smaller peaks around lower scores. Under iOS 11.2.0 the effect is even more pronounced.

iPhone Performance and Battery Age – Geekbench

ユーザーからのフィードバック

 また、Appleの声明の中ではユーザーからのフィードバックについても触れられており、今年の秋にユーザーから「特定の条件下でパフォーマンスが低下する」というフォードバックを多く受け取っていたそうですが、Appleは当初これを「OSをアップグレードし、新しいソフトやアプリのアップデートがあった」、「iOSの初期リリース時に含まれていたマイナーな不具合」の2つの要因によるものと考えていたそうで、

"iPhone Slow" Google Trend

Recent user feedback
Over the course of this fall, we began to receive feedback from some users who were seeing slower performance in certain situations. Based on our experience, we initially thought this was due to a combination of two factors: a normal, temporary performance impact when upgrading the operating system as iPhone installs new software and updates apps, and minor bugs in the initial release which have since been fixed.

iPhone Performance and Battery Age – Geekbench

これもGoogleTrendsで調べてみるとiOS 11がリリースされた2017年8月以降にトレンドが上昇し、「iPhone Slow」で検索するユーザーの数はiOS 7や8リリース時に迫る勢いとなっており、これと劣化したバッテリーが搭載されたiPhone 6/6sのユーザーからフォードバックが重なりフィードバックが増えたようです。

機能は今後も継続

 Appleは声明の中でユーザーとの意思疎通に問題があったことは謝罪したものの、今後もより良いユーザーエクスペリエンスを提供する上で、iPhoneが突然シャットダウンしてしまう問題に対処するためiPhoneのパフォーマンスを意図的に引き下げる電源管理機能は継続する計画で、

バッテリーの充電残量が少ない、化学的経年劣化が進んでいる、周囲温度が低いといった状況下では、突然のシャットダウンが起きる可能性が高くなります。極端な場合は、シャットダウンが頻繁に起こり、その結果、デバイスが不安定になって使えなくなることもあり得ます。[…] Apple では今後も引き続き電源管理機能を強化していく予定です。この機能の唯一の目的は、突然のシャットダウンを防ぐことにより、現在お使いいただいている iPhone をさらに長くお使いいただけるようにすることにあります。

iPhone のバッテリーとパフォーマンス – Apple サポート

2018年上旬にリリースされるiOSのソフトウェア・アップデートでこの問題を改善するとともに、ユーザーにiPhoneのバッテリー状態をより詳細に表示できる新しい機能を追加し、パフォーマンスにどのように影響しているかを確認できるようにする他、

iPhoneのバッテリーサービス

iPhone6以降のモデルのバッテリー交換価格を2018年01月下旬から12月までの間、現在の79ドルから50ドル下げ29ドルにするといった方針を発表しています。(日本ではまだ発表されていないようですが、日本でのバッテリー交換サービスの価格は8,800円となっているので、3~4000円程度に引き下げられると思われます。)

おまけ

 Appleが同時に公開したサポートドキュメントによると、この電源管理機能によりiPhoneに以下の様な変化が見られる事があるそうで、

  • App の起動に時間がかかるようになった。
  • スクロール中のフレームレートが低くなった。
  • バックライトが暗くなった (コントロールセンターで設定の変更が可能)。
  • スピーカーの音量が小さくなった (最大でマイナス 3dB)。
  • 一部の App でフレームレートが徐々に低下する。
  • さらに極端な場合は、カメラのフラッシュがカメラの UI に表示されているにもかかわらず使用できなくなった。
  • バックグラウンドで更新されるはずの App が起動中に再読み込みされる場合がある。

The VergeやArs Technicaなどは、Appleが新しい電源管理機能を導入することは将来的にユーザーのためになると見ていますが、今回の騒動についてはAppleがこの機能をユーザーに説明しないまま実装し開発者らにより発見された事が問題で、それによりユーザーの不信を煽ってしまったとコメントしています。

iPhone owners have long believed Apple artificially slows down older phones to drive new sales. But the new information from Apple about performance management poured gasoline on that long-simmering frustration, leading to a lot of bad press and multiple lawsuits. What made it all seem worse is that the scope of the performance penalty only came to light after being discovered by a developer instead of being clearly disclosed by Apple.

Apple apologizes for iPhone slowdown drama, offers $29 battery replacements – The Verge

コメント

  1. 匿名 より:

    Rのhist関数でヒストグラム書いてるのか。iOS11.2でさらに増えてるってことは、バッテリー消耗端末が増えたせいか。できれば初期購入に限定して一度グラフ書いてもらいたい。新規購入がいまでも結構あるから、自分がどのピークにいる確率が高いか予想しにくい。もしかしたら新規購入は左から二つ目の二番目に大きな山が多いかもしれん。
    アップルのことだから、来年の修正アップデート来てもバッテリーの交換時期です、くらいしか教えないだろ。性能が具体的にどれだけ強制落ちしてるかはサードのベンチマーク取るしかないのが容易に予想できるから、推測するデータが欲しい。

  2. 匿名 より:

    バッテリーの経年劣化とシャットダウンの関連性が不明確すぎる。ピーク作業時とはそもそも何のアプリで起きるのか説明しないのね。

    過負荷な状態を緩和するために動作クロックを下げている訳だろ。意図的に性能を落とす他無いのに、そんな事はしていないとか言い訳が酷い。

    バッテリーの出力電圧から残量或いは健康状態を予測しているのだろうけど、その予測が楽観的だから突然シャットダウンするんだろう。

    • 匿名 より:

      アップルが「決して行ったことがないしこれから行うことも絶対にない」と言っているのは「製品アップグレードの促進を目的とした、意図的な製品寿命の短命化と意図的なユーザー体験の低下」であって、意図的に性能を落としたことはないとは言っていない。彼らの視点からすると、性能抑制はユーザー体験を可能な限り悪化させない手段の一つなのだろう。実際、性能抑制導入前の一切予兆がない突然死は本当に不便この上ないものだった。文字通り「予期できない」挙動だったからね。

      • 匿名 より:

        うーん、そうじゃないんだよね。
        原因が特定出来ないのに対策を立てましたとかあり得ないから。正しい対策をしているのであれば堂々と公表すれば良い事。それをしなかったのは何故か?
        以前にもiphoneの寿命は3年だと公言していたのだから、それが裏付けられたって事だ。

        もっとも、耐久消費財として長持ちする製品とは思ってないけどね。

タイトルとURLをコピーしました